Money Vault vs Clarity Money: プライバシー重視の記録か、銀行連携の予算管理か?
Clarity Money は、銀行連携で支出を見える化し、使い忘れたサブスクを止めるのが得意でした。その後 Goldman Sachs が買収し、Marcus に統合されています。今でも使えますが、重心は変わりました。Money Vault はその逆で、銀行アクセスは不要、データは端末内、記録は音声やカメラで行います。見た目は似ていても、思想はかなり違います。
- Clarity Money(Marcus): 銀行連携の無料予算管理とサブスク整理。銀行ログインが必要です。
- Money Vault: 音声入力、レシートスキャン、AIチャット、50以上の通貨。端末内保存で銀行連携不要。
- Clarity を選ぶなら: 自動同期とサブスク管理が最優先の場合。
- Money Vault を選ぶなら: プライバシーと素早い手動記録を重視する場合。
背景: Clarity Money に何が起きたか
Clarity Money は 2017 年に独立アプリとして始まり、支出の見える化と、忘れたサブスクの整理で評価されました。銀行をつなげると、定期課金を見つけて、その場で止めることもできました。
2018 年に Goldman Sachs が買収し、Marcus に統合されました。今でも無料で使えますが、サブスク停止よりも、Marcus の貯蓄口座やローン商品の導線が前面に出ています。
つまり、今比較しているのは、当時のレビューで語られた姿と少し違うアプリです。
各アプリの記録方法
Clarity Money は、ほぼ完全に銀行同期ベースです。チェック口座、クレカ、貯蓄口座を Plaid 経由でつなぐと、取引が自動で入ります。カテゴリ分けや傾向表示は自動ですが、現金、Venmo、海外の支出は抜けやすいです。
Money Vault は逆で、データをこちらから入れます。
- 音声: 「駐車場 12ドル」と言えば、約 3 秒で記録できます。
- レシートスキャン: カメラをかざすと、OCR が合計、日付、店舗、明細を拾います。
- 手入力: 細かく調整したい時の通常フォームです。
手入力型なので、現金支出も取りこぼしにくいです。旅行先のレシートや、銀行を通らない支出もそのまま残せます。その代わり、実際に入れる必要はありますが、音声ならかなり軽くなります。
サブスク管理
ここは元々 Clarity の強みでした。銀行をつなぐと、Netflix から見落としがちなジム会費まで、定期課金が見えます。そこから解約導線を案内してくれることもあります。
Marcus 版でも機能自体は残っていますが、以前ほど目立ちません。場合によっては、アプリ内ではなくサービス側のサイトに飛ぶこともあります。見つける力はまだ強いものの、昔の「一発で止められる」感覚は少し薄れています。
Money Vault は、専用のサブスク検出機能はありません。ただし、定期支出を自分で記録していれば、AI チャットで月ごとの合計は確認できます。銀行の中を自動で巡回して、隠れた課金を探すタイプではありません。
サブスクの取りこぼしが最大の悩みなら Clarity に分があります。日々の支出を素早く整理したいだけなら、Money Vault のほうが軽いです。
プライバシーの違い
ここが最も大きな差です。
Clarity Money は、Plaid 経由で銀行ログインを渡す必要があります。取引データは Goldman Sachs 側のサーバーに流れます。集計・匿名化された金融データは、製品改善やマーケティングの分析に使われる可能性があります。無料アプリですが、データを対価にしているモデルです。
Money Vault は、すべて端末上で保持します。アカウント不要、銀行情報不要。レシートスキャンも Apple のオンデバイス Vision フレームワークで処理します。金融データが端末の外に出ないのは、かなり大きな違いです。
Clarity Money から移るなら、まず履歴を書き出しておくと楽です。その後、Money Vault の CSV インポートで持ってこれます。
多通貨対応
Money Vault は 50 以上の通貨に対応し、リアルタイムの為替レートで換算します。ユーロ、円、バーツの支出もそのまま記録できます。旅行者や複数通貨で働く人には大きい差です。
Clarity Money は基本的に USD 中心です。米国の銀行口座を前提にしているため、海外取引は銀行換算後のドル表示だけになります。元通貨やレートの細かい見え方はありません。
用途別の比較
| 機能 | Money Vault | Clarity Money(Marcus) |
|---|---|---|
| 音声入力 | ✓ 自然言語対応 | ✕ |
| AIチャット | ✓ 支出Q&A | ✕ |
| レシートスキャン | ✓ OCR | ✕ |
| 銀行同期 | ✕ | ✓ Plaid 経由 |
| サブスク検出 | ✕ | ✓ |
| 多通貨(50+) | ✓ | ✕ USD のみ |
| 端末内プライバシー | ✓ | ✕ クラウド + 銀行データ |
| オフライン | ✓ 完全対応 | ✕ インターネット必須 |
| 支出インサイト | ✓ AI ベース | ✓ 自動化 |
| 対応 | iOS | iOS、Android |
| 価格 | 無料 / プレミアム | 無料 |
価格
Clarity Money は完全無料です。お金ではなく、データと注意が対価になっているモデルです。Goldman Sachs は Marcus の貯蓄口座やローン商品へつなぐためにこのアプリを使っています。
Money Vault は、音声入力、レシートスキャン、手入力、基本統計まで無料で使えます。プレミアムでは AI チャット、拡張分析などが使えます。支出記録としては無料版でかなり広く使えます。
結論
- Clarity Money を選ぶなら: 銀行から自動で支出を取ってくる、手間の少ない管理を重視する場合。
- Money Vault を選ぶなら: 音声、スキャン、AI を使って、プライバシー重視で素早く記録したい場合。
結局のところ、どちらを信じるかは「自動化」か「自分で管理するか」です。Clarity は銀行アクセスを渡す代わりに自動化をくれます。Money Vault は記録を自分で入れる代わりに、データを端末に閉じ込めます。